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特定非営利活動法人 青少年育成支援フォーラム(JIYD)

「子どもの参画」実践の調査・普及事業

青少年向けプログラムのパラダイムシフトへ向け、「子どもの参画」実践を調査

■事業趣旨:国内の取り組みを調査

現在、官民を問わず、青少年向けの活動や彼らを取り巻く環境について、次の3点のような問題及び状況変化が顕著に見られます。

  1. 大人が考えたプログラムを青少年がこなす「受動的参加プログラム」の多くで、青少年会員や参加者が減少。青少年にとって魅力的な事業(サービス)への転換が求められています。
  2. 神奈川県川崎市、岐阜県多治見市では、子どもの権利に関する条例を制定し、市政に子どもの意見が反映される仕組みが作られました。他の自治体でも、行政施策への同様の参画の道が模索されています。
  3. 統計調査において青少年の自信や自尊心が低い傾向が見られます。これは他者とのコミュニケーションだけでなく、社会や地域への参画、仕事の局面でも障害となる、解決すべき最重要課題です。

当事業では、上記の現状に対応する「方策」を見出すため、@「子どもの参加/参画」は日本において有効か? A有効であるなら、どのような局面で有効か? B「子どもの参加/参画」の促進及び阻害要因は? 以上3点を明らかにする国内調査を行いました。

■実施内容:アンケート+インタビュー調査と事例検討会

10団体(学校含む)でアンケート調査を実施、大人72名(回答率:74%)、子ども166名(同:66%)から回答を得ました。大人には「子どもをどう思うか」「子どもの参画を進める上での課題」等を、子どもには「大人をどう思うか」「自分自身の変化」等を質問。回答者の中から、大人21人、子ども約30人に、インタビューも行いました。

さらに、参画の意義や魅力を探るために計4回の事例検討会を企画し、内2回を実施しました。(残る2回は2005年1月と3月の開催)「ここまでできる!【学校・社会教育】における子どもの参画」(8月28日実施)では、北海道の札内北小学校で入学式、運動会、卒業式等を子ども主体で企画・実施している事例や、埼玉県鶴ヶ島市の小中高生が市政に意見を言う「鶴ヶ島フリートーク」と中学校の学校運営協議会に中学生が携わる事例が報告されました。「おとなの『してあげたい』と子どもの参加」(10月4日実施)では、「フリースペースたまりば」代表の西野博之氏から、主に不登校の子どもが通う活動において、子どもと共に活動を作っていく魅力と難しさの報告がありました。

■成果:有効性、有効な局面、促進・阻害要因?

調査の結果、「子どもの参加/参画」は現在の日本において有効と答える人が多数でした。組織運営や事業の企画・実施に青少年が参画することが、彼らのニーズを引き出すいちばんの近道である、ということです。子どもたちもまた、参画を通してコミュニケーション力や自分への自信、異なる意見を受容する力が身についたと感じています。

実際、「子どもの参加/参画」に寄せる期待はあらゆるレベルで高まっています。官民、規模の大小にかかわらず、今後もこのコンセプトを積極的に維持・継続したいという声が圧倒的です。

では、「子どもの参加/参画」の促進及び阻害要因は何なのか。どちらも、@運営体制、A「子ども」観、B子どもとの接し方、C相互の合意形成の局面、において存在するようです。スタッフの理解、事業計画の柔軟性、保護者への説明・理解が充分か否かで、「参画」の行方は大きく左右されますが、それ以上に、子どもを一個人として受けとめ、敬意をもって接する態度、信頼関係、謙虚さ、「共に作る」という気持ちが重要と感じさせられました。


事例検討会(東京)

◆アンケート、インタビュー調査先

北海道幕別町立札内北小学校/埼玉県鶴ヶ島市立南小学校/神奈川県川崎市「子ども会議」/埼玉県鶴ヶ島市「フリートーク」/NPO法人 子どもNPO/ 東京都中野区立上高田児童館/NPO法人 寺子屋方丈舎/NPO法人 NPO佐倉子どもステーション/MIEチャイルドライン/子ども通信社 VOICE(ボイス)

◆参画実践調査委員会

(五十音順)

この事業は、財団法人トヨタ財団、並びにルーセント・テクノロジー財団の助成をいただき、実施しました。